共同生活(ルームシェア)歴10年以上のノウハウを結集した家計簿フォーマットを公開します。フォーマットが決まったのも10年以上前なので、運用実績も10年以上になります(笑)
また、このフォーマットを使って「グループ旅行の会計」や「イベントの会計」を行った実績もあります。共同生活に限らずいろいろと活用できると思うので便利に使ってみてください。

共同生活(ルームシェア)家計簿を書く上でのポイント

共同生活の家計簿で重要なポイントは3つあります。

  1. 誰がいくら払ったか?
  2. 誰がいくら受け取ったか?
  3. 現時点の貸し借りの残高は?

「何を買ったか」とかそういうのは、生活費が潤沢であれば実はどうでも良かったりします。

また、ユースケースは以下の1つに絞られます。

  • 「誰かが支払って、誰かがその恩恵を受けた」

「誰か」というのは個人であったり、複数人であったり、会社であったり、共同口座であったりします。
そして、すべてのお金のやりとりにこの「誰かが支払って、誰かがその恩恵を受けた」という解釈を適用すればよいです。

フォーマットとその説明

上記を表しやすいフォーマットを模索したところ、以下の複式簿記っぽい書き方に落ち着きました。

日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人 検証
スクちゃんP 律子 やよい 伊織 共同口座 スクちゃんP 律子 やよい 伊織 共同口座
1月1日 共同口座へ入金 \10,000 \10,000 \500 \100,000 \0 \0 \0 \0 \0 \120,500 OK
1月2日 家賃(1月分) \0 \0 \0 \0 \50,000 \12,500 \12,500 \12,500 \12,500 \0 OK
1月3日 食費(スーパー) \0 \0 \3,426 \0 \0 \857 \857 \857 \857 \0 OK
1月4日 食費(スーパー) \4,211 \0 \0 \0 \0 \1,404 \1,404 \1,404 \0 \0 OK
1月5日 貸付(律子→やよい) \0 \5,000 \0 \0 \0 \0 \0 \5,000 \0 \0 OK
1月6日 携帯アプリ(1月分) \315 \0 \0 \0 \0 \315 \0 \0 \0 \0 OK
1月7日 ケーキ(5個) \1,575 \0 \0 \0 \0 \315 \315 \315 \630 \0 OK
集計 ¥16,101 ¥15,000 ¥3,926 ¥100,000 ¥50,000 ¥15,390 ¥15,075 ¥20,075 ¥13,987 ¥120,500 OK
収支 ¥711 ¥-75
¥-16,149 ¥86,014 ¥-70,500

この表の見方は以下の通りです。

  • 1行が1取引です。(それぞれどんな取引が起きたのかは後ほど解説します。)
  • 「日付」列は取引を行った日を表します。
  • 「支払った人」列群を見れば、ある取引で誰がいくら支払ったかは一目瞭然です。
    また、「恩恵を受けた人」列群を見れば支払いに対して誰がいくら受け取ったかも分かります。
  • 「検証」列は支払いと恩恵が等しい(「支払った人」列群の合計=「恩恵を受けた人」列群の合計)になっているかどうかの計算結果です。
    もし、合計が等しくない場合はお金が沸いてきたか無くなったと言うことになります。
  • 「集計」行は支払った金額と恩恵を受けた金額を合計したものです。
  • 「収支」行は誰か毎に収支(=支払った金額-恩恵を受けた金額)を計算したものです。
    プラスであれば貸しがある事を、マイナスであれば借りがあると言うことになります。
    もし、共同生活から離脱する場合は、この金額を誰かに相殺してもらうことで貸し借りを解消できます。

計算式の例(Excelの場合)

このフォーマットには数式がいくつか埋め込まれています。数式を表示したフォーマットは以下の通りです。

A B C D E F G H I J K L M
1 日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人 検証
2 スクちゃんP 律子 やよい 伊織 共同口座 スクちゃんP 律子 やよい 伊織 共同口座
3 2009/01/01 共同口座へ入金 10000 10000 500 100000 0 0 0 0 0 =SUM(C3:F3) =IF(SUM(C3:G3)=SUM(H3:L3),”OK”,”NG”)
4 2009/01/02 家賃(1月分) 0 0 0 0 50000 =$G4/4 =$G4/4 =$G4/4 =$G4/4 0 =IF(SUM(C4:G4)=SUM(H4:L4),”OK”,”NG”)
5 2009/01/03 食費(スーパー) 0 0 3426 0 0 =$E5/4 =$E5/4 =$E5/4 =$E5/4 0 =IF(SUM(C5:G5)=SUM(H5:L5),”OK”,”NG”)
6 2009/01/04 食費(スーパー) 4211 0 0 0 0 =$C6/3 =$C6/3 =$C6/3 0 0 =IF(SUM(C6:G6)=SUM(H6:L6),”OK”,”NG”)
7 2009/01/05 貸付(律子→やよい) 0 5000 0 0 0 0 0 5000 0 0 =IF(SUM(C7:G7)=SUM(H7:L7),”OK”,”NG”)
8 2009/01/06 アーケード連動(1月分) 315 0 0 0 0 315 0 0 0 0 =IF(SUM(C8:G8)=SUM(H8:L8),”OK”,”NG”)
9 2009/01/07 ケーキ(5個) =315*5 0 0 0 0 =$C9/5 =$C9/5 =$C9/5 =$C9*2/5 0 =IF(SUM(C9:G9)=SUM(H9:L9),”OK”,”NG”)
:
20 集計 =SUM(C3:C19) =SUM(D3:D19) =SUM(E3:E19) =SUM(F3:F19) =SUM(G3:G19) =SUM(H3:H19) =SUM(I3:I19) =SUM(J3:J19) =SUM(K3:K19) =SUM(L3:L19) =IF(ABS(SUM(C20:G20)-SUM(H20:L20))<1,”OK”,”NG”)
21 収支 =C20-H20 =D20-I20 =E20-J20 =F20-K20 =G20-L20

この表の見方は以下の通りです。

  • 各々のセルには以下の「列の名前+行の名前」というルールで名前がついています。
    • 列にはA, B, C, … , Mという名前がついています。
    • 行には1, 2, 3, … , 21という名前がついています。
  • 「集計」行の「検証」列(M20)は合計金額の差額が1円未満であることを確認しています。合計で計算誤差が出ることへの配慮です。
  • 「恩恵を受けた人」列群には「支払った人」列群を参照し、恩恵の割合に応じて割り算する式を記入します。

取引の解説

この表を見ながら、各取引の解説をします。
1月1日の取引から順番に見ていきましょう

1月1日の取引 (みんなが共同口座へ入金)

日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人
1月1日 共同口座へ入金 \10,000 \10,000 \500 \100,000 \0 \0 \0 \0 \0 \120,500 OK

この日はみんなでお金を出し合って共同口座に\120,500入金しました。
ただし、出したお金にはばらつきがあります。それはこの表から一目瞭然ですね。
検証も\10,000+\10,000+\500+\100,000=\120,500となりOKです。
まとめると、「スクちゃんPと律子とやよいと伊織が支払って、共同口座がその恩恵を受けた」となります。

1月2日の取引 (共同口座から家賃を支払った)

日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人
1月2日 家賃(1月分) \0 \0 \0 \0 \50,000 \12,500 \12,500 \12,500 \12,500 \0 OK

この日は共同口座から家賃を支払いました。
共同生活(ルームシェア)では普通、家賃の恩恵を全員が平等に受けられますので、みんな同じ金額だけ恩恵を受けています。
もし、誰かが1人だけ豪華な部屋を割り当てられている場合などは、恩恵を受ける金額に差を持たせる事も出来ます。
検証も\50,000=\12,500+\12,500+\12,500+\12,500となりOKです。
まとめると、「共同口座が支払って、スクちゃんPと律子とやよいと伊織がその恩恵を受けた」となります。

1月3日の取引 (誰かがスーパーへ食事の材料を買いに行き、みんなで食べた)

日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人
1月3日 食費(スーパー) \0 \0 \3,426 \0 \0 \857 \857 \857 \857 \0 OK

この日はやよいがスーパーへ食事の材料を買いに行きました。そして、みんなで食べました。
炊事を分担する共同生活では食事の恩恵を全員が平等に受けられますので、みんな同じ金額だけ恩恵を受けています。
もし、誰かが1人だけ特別な食事(量が多い、材料が多い等)を割り当てられている場合などは、恩恵を受ける金額に差を持たせる事も出来ます。
調理を担当する人は値引きする事にしても良いと思います。
検証も\3,426=\857+\857+\857+\857となりOKです。
まとめると、「やよいが支払って、スクちゃんPと律子とやよいと伊織がその恩恵を受けた」となります。

1月4日の取引 (誰かがスーパーへ食事の材料を買いに行き、誰かが食べた)

日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人
1月4日 食費(スーパー) \4,211 \0 \0 \0 \0 \1,404 \1,404 \1,404 \0 \0 OK

この日はスクちゃんPがスーパーへ食事の材料を買いに行きました。そして、伊織を除くみんなで食べました。
普通は食事の恩恵を全員が平等に受けられますが、外出している場合などは恩恵が受けられない人もでてきます。
その場合、恩恵を受けなかったことにして食費の負担を免除する事が出来ます。
検証も\4,211=\1,404+\1,404+\1,404となりOKです。
まとめると、「スクちゃんPが支払って、スクちゃんPと律子とやよいがその恩恵を受けた」となります。

1月5日の取引 (誰かがお金を貸し、誰かがお金を借りた)

日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人
1月5日 貸付(律子→やよい) \0 \5,000 \0 \0 \0 \0 \0 \5,000 \0 \0 OK

この日は律子がやよいにお金を貸しました。
この取引は極端な例で、支払った人と恩恵を受けた人の1対1の取引です。
支払った人と恩恵を受ける人が限られていた場合でも自然に記述できるのがこのフォーマットの良いところです。
検証も\5,000=\5,000となりOKです。
まとめると、「律子が支払って、やよいがその恩恵を受けた」となります。

1月6日の取引 (誰か個人用途でお金を使った)

日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人
1月6日 携帯アプリ(1月分) \315 \0 \0 \0 \0 \315 \0 \0 \0 \0 OK

この日はスクちゃんPが個人的な用途でお金を使いました。
この取引は極端な例で、支払った人と恩恵を受けた人が同一となる取引です。
このように記入することでこのフォーマットが個人の金銭出納帳としても使えるということが分かると思います。
検証も\315=\315となりOKです。
まとめると、「スクちゃんPが支払って、スクちゃんPがその恩恵を受けた」となります。

1月7日の取引 (誰かがケーキを買ってきて誰かがたくさん食べた)

日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人
1月7日 ケーキ(5個) \1,575 \0 \0 \0 \0 \315 \315 \315 \630 \0 OK

この日はスクちゃんPがケーキを5個買ってきて、みんなで食べました。ただし、伊織だけはケーキを2個食べました。
この取引は恩恵を多く受けた人の恩恵の割合が異なる取引です。
全員が等しく恩恵を受けない場合もこのように自然に記述できます。
検証も\1,575=\315+\315+\315+\630となりOKです。
まとめると、「スクちゃんPが支払って、スクちゃんPと律子とやよいと伊織が1:1:1:2の割合でその恩恵を受けた」となります。

その他の運用方法ついて

このフォーマットは毎月表を作り直してもよいです。その場合、「集計」行を繰り越し金額として新しい表に転記しましょう。
また、共同生活を解消する場合には以下のように「収支」を相殺してもらう取引を行えばよいでしょう。

共同生活解消のための取引 (誰かがお金を貸し、誰かがお金を借りた)

日付 用途 支払った人 恩恵を受けた人
○月×日 相殺(律子) \0 \75 \0 \0 \0 \75 \0 \0 \0 \0 OK

この日は律子が実家に帰ることになり、「収支」を相殺しました。
この取引は収支で不足が発生していた律子が不足分の金額をスクちゃんPに渡しています。
結果、律子の収支が0となり誰にも貸し借りがない状態になりました。これで、晴れて共同生活から離脱することができます。
検証も\75=\75となりOKです。
まとめると、「律子が支払って、スクちゃんPが恩恵を受けた」となります。

終わりに

私はExcelを使ってこの家計簿を管理していますが、もちろんGoogle Spreadsheetsなどでも管理可能だと思います。もし、「こんな風に管理してみたよ!」という人がいれば是非教えてください。

おしまい。

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