福岡市の先端技術公共調達サポート「AIなどを活用した地下鉄駅エスカレーター安全利用等推進事業」において来栖川電算が最優秀提案者に選ばれました。今後、関係部署との協議を行い、本格導入へと進んで行く予定です。導入を心待ちにする声は届いておりますので、期待してお待ちください。

以降は、本実証プロジェクトで示されたエスカレーター見守り君の有用性を示す実験結果となります。短い調整期間でしたが、名古屋市営地下鉄での実験結果と同じような結果が得られています。鉄道関係者の皆さん、ぜひ参考にしてください。

福岡市地下鉄での実験結果

2024年11月30日(土) まで「福岡市地下鉄 博多駅 中央改札口 手前側 エスカレーター」にて「エスカレーター見守り君」を運用し、介入前(音声による注意喚起なし)の1週間と介入後(音声による注意喚起あり)の1週間の各指標を測定し、変化率(= 介入後の値 ÷ 介入前の値 - 100%)を求めました。結果が次の表になります。

指標 上り 下り
踏段上移動率 -42.3% -31.1%
片側偏重率 -12.8% +7.7%
待機列発生率 +5.8% -8.5%

踏段上移動率(エスカレーター上で歩いたり走ったりする人の割合)については、上り・下りのどちらにおいても大きく減少しており、安全性が大きく改善されたと言えます。

片側偏重率(左右に偏って乗っている人の割合)については、上りは減少し、下りはやや増加しています。上りは混雑するため輸送効率に良い影響を与えますが、下りは混雑しないため輸送効率に悪い影響を与えません。

待機列発生率(入口付近に列ができている時間の割合)については、上りはやや悪化し、下りはやや改善しています。上りについては介入により立ち止まる人が増加したことで悪化したと考えられますが、今後、片側偏重率が徐々に改善するなかで改善に転じると思われます(名古屋市営地下鉄伏見駅ではそのように推移しています)。下りについては混在しない中での僅かな変動により生じた誤差です(改善とはみなしません)。

以上をまとめると、「福岡市地下鉄 博多駅 中央改札口 手前側 エスカレーター」にエスカレーター見守り君を導入することで、踏段上移動率を確認できました。待機列発生率(輸送効率)がやや悪化していますが、長期的には改善に転じると思われるため問題ないと判断できそうです。

実証プロジェクトの設定などについては過去の記事をご参照ください。

カテゴリー: ニュース