2025年の来栖川電算は、「現場で動くAI」と「社内で回るAI」を両輪に、研究開発の成果を社会実装へつなぎつつ、日々の仕事のしかた自体もアップデートしてきた一年でした。本稿では、公式サイトに掲載した2025年のブログ・ニュース投稿をもとに、印象的なトピックを振り返ります。
駅と街で動くAI

2025年は、社会インフラの現場でAIが「注意する」「見守る」フェーズが一段進んだ年でもありました。
代表例が、「エスカレーター見守り君」です。福岡市地下鉄では天神駅・博多駅で2025年11月4日 7:00から稼働を開始し、歩行や片側空けなどを検知して音声で注意することで、安全性と輸送効率の改善を狙っています。
さらに名古屋市営地下鉄 名古屋駅でも、2025年12月1日 10:00から稼働開始。実証の成果を踏まえた導入で、開始当日は複数メディアの取材もありました。
自動搬送ロボットと大規模人流計測システム
駅空間は「広いのに見通せない」「時間帯で密度が極端に変わる」という、センシング/解析の難題が詰まった場所です。
2025年7月16日のJR東海社長会見では、来栖川電算がJR東海と研究開発してきた「大規模人流計測システム」が紹介されました。JR名古屋駅コンコースのような難しい空間に対し、LiDARセンサー群の配置を工夫して高密度な3次元点群を収集し、人流行動解析の品質を高めています。
その流れの中で、2025年10月からはJR名古屋駅で自動搬送ロボット実証実験が進み、搬送の安全性・効率性・人流への影響を「大規模人流計測システム」で継続的に検証する取り組みが紹介されました。
また、4月に開催されたNexTech Week 2025「第9回 AI・人工知能EXPO 春」では、LiDARを使ったリアルタイム人流解析デモを展示し、来場者との対話を通じて現場の手応えも得ています。
生成AIを“業務で使える形”へ:スキルアイの実践

2025年は、生成AIが「万能チャット」だけでなく、業務の型に合わせたUIと手順の中に組み込まれていく段階に入ったことも象徴的でした。
その事例として、職業能力開発総合大学校との取り組みで開発した
「Job Skills Navigator powered by AI(通称スキルアイ)」があります。職務分析のナレッジデータ(従来Excelで管理されていた約20万件)を整理・統合し、ボタン操作やフォーム入力を軸にAIが項目を生成・追加するという、業務習慣に寄せた設計がポイントです。
社内で回るAI:AIアシスタント「ジェントルボーグMk-II」と“小さな自動化”の積み上げ
社内では、AIを「特別なもの」ではなく、日常の道具として馴染ませる工夫が進みました。
AIアシスタント「ジェントルボーグMk-II」は、Slackアプリとして動作し、LLM+RAGで社内情報に基づく回答を行う仕組みとして紹介されています。
さらにバータイム企画では、社内規則に答えるボット、申請フォームを案内するボット、インフラ監視、研修ログのコーチング、職場のポジティブ文化を支える仕組みなど、来栖川電算の中で生まれた実例が共有されました。
AIと共働する開発:コーディングエージェント、基本設計の共有

開発の現場では、AIを”コード生成ツール”にとどめず、開発プロセス全体の支援として捉える視点が強まっています。
バータイムで共有されたコーディングエージェントの知見では、人間がより高度な設計業務に集中できる環境づくりが、生産性向上の鍵になるという総括が示されています。
また「基本設計ワークフロー共有会」では、一般的なソフトウェア開発における基本設計の流れを整理し、共通言語として共有する試みが行われました。
学びと発信:技術アウトプットと教育のアップデート

技術発信では、Qiita OrganizationやZenn Publicationでのアウトプットを取り上げ、MCPサーバや自動アノテーションツールなどの話題を紹介しています。
教育面でも、AIによるプログラミング課題の自動レビュー・コーチングを導入し、フィードバックの迅速化と研修の自動化を進めています。
働く環境:食・遊び・制度を整えて、継続的に前へ進む
来栖川電算らしさは、プロダクトや技術だけでなく、働く環境を作る執念にも表れています。
- 社食デリバリー(冷凍便):2021年開始の取り組みとして、日本全国の社員に週1回程度のペースで冷凍の食事セットを届けられる体制を整備。 (kurusugawa.jp)
- ゲームコーナー:PS5/PS4/Nintendo Switch/PC(Steam)などを設置し、Discord配信も活用しながら、オフィス×リモートの“同じ場”をつなぐ工夫が語られています。 (kurusugawa.jp)
おわりに
2025年は、駅・教育・業務支援・開発プロセス・社内運用と、さまざまな領域で「AIを現場の品質に耐える形に落とし込む」挑戦が重なった一年でした。
今年1年ありがとうございました。
読んでくださったみなさまのご多幸・ご健勝を祈念いたします。