来栖川電算の社内イベントとして、「技術広報の教科書を読んだ知見を紹介する会」が開催されました。
発表者は研究開発業務の傍ら広報の一部も実施しており、そこでこの本に興味を持ったとのことでした。
今回は、この会で共有された知見を紹介します。
※なお、本記事に記載されている内容は、発表者が書籍を読んで得た所見であり、来栖川電算を代表した公式な見解ではないことをあらかじめご了承ください。
1. 「技術広報の教科書」から得た重要な知見

技術広報とは「自社のファンを増やす活動」である
発表者によれば、技術広報と聞くと、テックブログの執筆、SNSへの投稿、登壇などが思い浮かびがちです。しかし、書籍で定義されていた技術広報では、単に認知度を高めたり採用を増やしたりするだけでなく、「自社のファンを増やす活動」である、という点が強調されました。このファンには、社員も含め、外部のエンジニアも含めて「この会社いいぞ」と推してもらえるような活動全般が含まれます。
良い技術広報には「良い組織」が土台として必要
技術広報を成功させるには、まず「良い技術広報をするための良い元ネタ」が必要であり、それはすなわち「良い組織」が必要であるという知見が共有されました。エンジニアにとって魅力的な「良い組織」の特徴として、以下の点が挙げられました:
- ■柔軟な働き方ができること。
- ■技術理解があること。
- ■将来性のある事業があること。
発表者の所感として、来栖川電算は柔軟な働き方が可能であり、技術理解のある人が多く、将来性を感じられる事業を持っていると確信しているため、技術広報を行う土台は整っているのではないか、という見解が述べられました。
コミュニティへの「ピュアな貢献」が信頼を生む
土台があるからといって、ただ宣伝すれば良いわけではありません。採用を増やしたい、スポンサーすれば人が集まるかも、といった「下心」が透けて見える姿勢ではなく、コミュニティに対して純粋に貢献する姿勢が不可欠であると指摘されました。
このような「貢献の精神(義務の精神)」を大切にし、活動を積み重ねていくことで、結果的に「この会社は信用できそうだ」という信頼がたまり、最終的に外部から「この会社いいぞ」と評価してもらえるようになります。焦って成果を求めすぎないことが重要です。
理想の姿と現実のギャップを埋める活動も広報である
広報活動において、発信したい会社の理想的な姿(例:機械学習に強い)と、社内のエンジニアが感じている現実の姿が一致していないと、広報の説得力が下がってしまいます。
発表者によれば、技術広報は単に宣伝するだけでなく、社内の「なりたいところ」に足りていない部分を支援していく活動も含まれる、という点が特に重要だと述べられました。
テックブログやイベントは「社内文化」を起点とすべき
テックブログの執筆やイベントの開催は、採用や宣伝のために行うのではなく、本来は社内の技術力向上や技術共有文化の一環として行うべきである、という点が強調されました。
理想的な順序は、
- 社内での技術共有・研鑽の取り組みを行い、
- 結果的に技術力が向上し、
- イベントや登壇によって、研鑽の結果が外から見えることで「この会社よさそう!」と思ってもらえる
です。特にイベントは、コミュニティとリアルで関わり、信頼関係を深める重要な場です。登壇も、義務感からではなく、エンジニア自身が楽しんで「自分の技術を見てほしい」という発信意欲に基づくことが重要とのことでした。
2. 持ち帰られた知見と発表者の所感
社内文化の育成と支援
活発な技術共有文化を育むためには、単なる金銭的なインセンティブだけでなく、具体的な褒めが重要であるという知見が紹介されました。例えば、「ブログのこの記述が優れていた」といった具体的なフィードバックを増やすことが、内発的動機を高める一助となるとの所感です。
また、ブログ発信などが苦手な社員がいることも考慮し、不得意な人に対して不利益(損)が生じないような制度設計にすべきである、という点も、書籍からの重要な学びとして共有されました。
具体的な行動への反映
発表者が個人的に今後やっていきたいと考えたことは、以下の点です:
- イベント運営の改善: 書籍に記載されていたリハーサル、安定性テスト、受付体制の工夫など、イベント運営に関する具体的なテクニックを、今後のNGKなどのイベント管理に反映させたい。
- 社内文化の醸成: ブログをみんなで書くような社内を盛り上げる取り組みを進めていきたい。
- 組織定義の明確化: そもそも来栖川電算にとって「良い組織」とは何か(例:最先端を尖らせた組織)を具体化し、それに基づいた取り組み(例:論文読み会などの活発化)を推進したい。
3. まとめ
本イベントを通じて、技術広報とは外部への宣伝活動である以上に、いかに社内を整え、社員が「推したくなる・自慢したくなるような組織」を作り上げるかが最も重要である、という本質的な知見が共有されました。
今後も、来栖川電算では、得られた知見を活かし、組織文化を醸成する活動を地道に続けていきたいと考えています。