今回は、来栖川電算の社内イベント「バータイム」で開催された、AIを活用した「バイブコーディング大会」の様子をご紹介します。
AIが目覚ましい進化を遂げる現代において、プログラマーの働き方も大きく変化しています。そんな中、今回のイベントでは参加者それぞれが自分でコードを書かずAIにコードを書かせる「バイブコーディング」を駆使してプログラミングを行い、その開発スピードと創造性を競い合いました。
「バイブコーディング」とは?
今回のイベントで実施された「バイブコーディング」とは、プロンプト(指示文)のみをAIに与え、人間は直接コードを書かないというプログラミング手法です。AIコーディングエージェントやコーディング補助ツール、Copilotなどの利用は自由ですが、あくまでAIにコードを書かせることが目的です。
今回のお題は「採用チームの切実な課題」

今回の大会で参加者に与えられたお題は、来栖川電算の採用チームが直面している「切実な課題」でした。
普段、来栖川電算の採用面接では、候補者の方に「コード補完やAI支援がないエディタ」を利用してプログラミング問題に取り組んでいただいています。これは、エディタの各種補助機能のない環境で問題を解いてもらうためです。
しかし、最近ではWindows 11の標準メモ帳ですらAI支援が搭載されるようになり、「全く支援がない真っさらなエディター」を候補者に用意してもらうことが難しくなってきていました。
そこで、採用チームが本当に欲しいエディターの要件として、以下のような条件が提示されました。
必須要件:
- インターネット上に公開されており、URLを知っていれば誰でも利用可能であること
- AI支援やコード補完がない「真っさらな」エディターであること
望ましい要件:
- GitHub PagesやVercelなどで手軽にデプロイできる静的ファイル群であること
- Google Meetでの画面共有を前提としていること
- 何かしらのチート防止機能が実装されていると嬉しい (例: エディターからフォーカスを失うと画面が赤くなる、キー入力がログとして表示される)
このお題に対し、バイブコーディングで実装を行なってもらいました。
参加者はAIをどのように活用し、採用課題を解決するエディターを生み出すのでしょうか。
白熱の開発風景!AIが次々とプロトタイプを生み出す
イベントが開始されると、参加者はそれぞれ思い思いのAIツール(v0、ChatGPT、Claude Codeなど)を使い、プロンプトを駆使してエディター開発に取り組みました。
Aさんが作った機能

- フォーカス外れ検知: エディターからフォーカスが外れると画面が赤くなる。初期は警告音が鳴る仕様でしたが、後に視覚表示のみに変更されました。
- キー入力ログ: 入力中のキーは反映されず、エンターキーで改行された行がログとして表示される仕組みに改善。バックスペースやデリートはログから除外。
- コピー&ペースト検知: Ctrl+CやCtrl+Vといったコピー/ペースト操作も検知し、ログに表示。
- 経過時間表示: ある人から「解き始めてからの経過時間があるといい」とコメントがあり、選考時の判断材料になる可能性が示唆されました。
Bさんが作ったエディタ

- 機能盛りだくさん: 面接者の名前、課題、セッションPIN入力欄、制限時間(60分)、キーログ、フォーカスロスト警告、コピーペースト禁止、エクスポート機能など。
- チート対策強化: 「拡張機能などでテキストエディターに機能追加してくるのを検出して警告を出して欲しい」という指示も追加され、不正防止機能も強化されました。
Cさんが作った機能

- パフォーマンス改善: v0に「もう少し素早く動くようにしてほしい」と指示し、即座にパフォーマンスが改善される様子が見られました。
- フォーカス外れ警告: エディター全体が赤くなる形でフォーカス外れを警告。
- キーログ詳細化: キー入力履歴の表示順序の変更や、押しっぱなしと連打の区別、修正キー(Ctrl+Zなど)の表示など、ログ機能が改善されました。最終的には、キーログをCSV形式でコピーできる機能も実装されました。
- デザインへの配慮: ページを開いた時にいきなり画面が赤くなるのは「怖い」という意見から、初期画面はノーマルな状態で表示するよう調整されました。
Dさんが作った機能

- シンプルisベスト: 「テキストエリアだけがあるHTMLを作って、フォーカスが外れたら背景を赤にする」「等幅フォント、コピーボタン、文字サイズを大きく」という非常にシンプルな指示で作成。
- GitHub Pagesで即デプロイ: 完成したエディターはGitHub Pagesに迅速にデプロイされました。
- セキュリティに関する考察: 別の参加者からは、開発者ツールやブラウザ拡張機能、別PCでのAI利用、仮想マシン環境など、様々なチートの可能性と抜け穴に関する考察が活発に行われました。ログの活用や面接官による監視の重要性も再確認されました。
Eさんが作った機能

- 強い意思を感じる機能: 特にEmacsキーバインドの説明には、「分かる人がニヤっとする」という強いこだわりが感じられました。
- 厳しいフォーカス検知: ログクリアボタンを押しても画面が赤くなるなど、フォーカス外れ判定が厳しすぎるという側面も見られました。
イベントの成果と今後の展望
1時間強という短い時間の中で、参加者たちはAIを駆使し、様々に工夫を凝らしたプロトタイプエディターを次々と生み出しました。最終的には6つの作品がURL付きで公開され、その開発スピードとAIの可能性が示されました。
優勝者は決めず、それぞれの作品が採用チームにとって貴重な参考資料となることが確認されました。このイベントを通じて得られたのは、単に機能するエディターだけでなく、「どういう指示をAIに与えると、どういう結果が生まれるのか」というノウハウや知見、感覚です。
主催者からは「まず触ってみて、”どんなもんか”という感覚・ノウハウを貯めていくのが重要」というコメントがあり、AI時代における実践的な学びの重要性が語られました。
来栖川電算では、これからもこのような機会を通じて、社員がAIと共創するスキルを磨き、未来の技術革新につながるノうハウを蓄積していきます。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
来栖川電算では、一緒に働ける仲間を歓迎します。興味がある方は採用ページをご覧ください。