
来栖川電算では、採用した ギルドメンバー (社内の開発アルバイトの呼称)の皆様に、より迅速かつ質の高いフィードバックを提供するため、「AIによるプログラミング課題の自動レビュー・コーチング」を導入し、研修の自動化を推進しています。
このシステムは、受講者が課題の達成にたどり着けるよう、AIがレビューとコーチングを組み合わせることでサポートします。今回は、このAIを活用した研修サポートシステムで「何ができるのか」、そして受講者や開発チームにとって「何がうれしいのか」をご紹介します。
AIレビューで「できること」:いつでも頼れる専属コーチ
プログラミング課題に取り組むプルリクエスト(PR)のコメント上で、スラッシュコマンドを使って簡単に呼び出すことができます。
1. 質問とコーチング(/ask, /hint)
AIエージェントは、受講者の疑問や課題の進捗を強力にサポートします。
- /ask 質問内容 :プルリクエスト全体や選択したコードに対する質問にAIが回答します。
- /hint :AIが現在のコードベースを確認し、 課題の進行に役立つ学習項目をサジェスト します。これにより、次に何を学ぶべきか、どこを改善すべきかが明確になります。
AIコーチングの重要な原則は、いかなる場合でも「正解を教える」ことはせず、 「気付きを与えることで正解に導く」 ことを重視している点です。たとえば、課題に行き詰まった際に/askで質問しても、答えをそのまま渡す代わりに、現在の取り組みを整理し次のステップを考えるよう促すフィードバックを提供します。

2. 要件に基づく的確なレビュー(/review)
受講者がコードレビューを依頼すると、AIが要件に基づきフィードバックを行います。
- /review :AIが現在のコードベースを確認し、レビューコメントをつけます。
- /task :現在取り組んでいる課題内容をいつでも表示できます。
AIは、課題ごとに設定された詳細な達成条件(必須要件や減点チェックリスト)に基づき、 質の高いフィードバック を提供します。具体的には、フィルターAPIが一般化されているか、条件関数が構造体変更に弱いシグネチャになっていないか、入力スライスを破壊するような副作用がないかといった、汎用性や設計の観点から指摘を行います。これにより、受講者はただ動くコードを書くだけでなく、 構造体スライスから汎用的なフィルター処理を設計する力 や、 再利用しやすいAPI設計 のスキルを身につけることができます。
課題が合格に達すると、AIが「Approved(合格)」と通知し、次の指示を確認できます。

AIレビューで「うれしいこと」:学習効率の劇的な向上
AIによる自動レビューの導入は、主に 学習時間の劇的な短縮 と 指導の質の担保 という大きなメリットをもたらしています。
1. レビュー待ち時間が大幅に短縮
人間がレビューを行う場合、1回のレビューのやり取りには、待ち時間を含めて 1日 はかかるのが一般的です。
しかし、AIが自動でレビューを行うことで、この時間が劇的に短縮されました。たとえば、人間レビューの場合 4日程度必要 とされていたプログラミング課題が、AIを活用することで 約3時間程度に短縮 されています。受講者は待ち時間なくすぐにフィードバックを受け取れるため、学習のリズムを途切れさせることなく、集中的に課題に取り組むことが可能です。
2. 常に一定以上の質の高いコーチング
AIは、特定の課題を通じて身につけるべきスキル(例:条件式を関数として抽象化し引数で受け取るパターン)や、目指すべき知識・能力(例:任意条件に対応できる柔軟なフィルター関数の実装)を明確にした指導を行います。
AIは、人間レビュー者が過去に行ったレビュー結果などを参考に、 講師用のドキュメント に沿ってフィードバックを生成するため、指導内容にばらつきがなく、受講者全員に体系化された指導を提供できます。
さらなる高みへ
受講者からは、フィードバックが高速であることのメリットを実感する一方で、「AIが無機質に次々と指摘をしてくるので、ゴールが見えず心が折れそうになった」という率直な意見も寄せられています。
これを受け、私たちは受講者のモチベーション維持も考慮し、たとえば内部的に評価しているスコアに基づき「達成率80%」といった進捗状況を表示したり、直近の変更で達成された項目を列挙したりするなど、より 人間味のある、学習者の気持ちに寄り添ったフィードバックの提供 を検討しています。
来栖川電算は、今後もAIを活用し、ギルドメンバーの皆さんが最高の環境でプログラミングスキルを習得できるよう、研修体験の改善を続けてまいります。
