先日のバータイムでは、普段の業務ではなかなか触れる機会のないAIに触れ、AIに対する感覚(知見)を養うことを目的として、作曲AI「Suno AI」を用いた曲作りワークショップを開催しました。

最近はChatGPTやClaude、Geminiといったテキスト生成AIをはじめ、動画生成やスライド生成、さらには法務業務AI(リーガルAI)など、多岐にわたる分野でAIが活用され、その進化のスピードは非常に速いものがあります。今回のテーマであるSuno AIのような、普段触れる機会の少ないAIに触れることで、「やっぱりプロンプトが大事なんだな」といった知見を広げることが開催の狙いでした。

1. Suno AIとは何か

Suno AIは、ユーザーがプロンプト(指示)を与えることで、それに沿った楽曲を作曲してくれるサービスです。

このサービスの特徴は、単にインストゥルメンタル(インスト)の曲を作るだけでなく、歌詞の生成や歌唱まで行うことができる点です。ユーザーは歌詞を直接入力することも、Suno AIに生成させることも可能です。

また、Suno AIは、シンプルな指示だけでなく、カスタムモードを選ぶことで、曲のスタイル(曲調)や歌詞を細かく指定し、より多様な楽曲制作が可能です。ユーザーがスタイルを指定する際、漢字は読み間違いやすいため、ひらがなを用いると良いといったテクニックも参加者から共有されました。

Suno AIは単なる生成ツールに留まらず、ユーザーが作った曲が公開され、ラジオ機能やエクスプロア機能を通じて共有される一種のSNS/コミュニティ的な要素も持っていることが確認されました。

2. ワークショップ全体の様子

ワークショップは、まず司会者がSuno AIの基本的な使い方を試すところから始まりました。

楽曲制作の試行錯誤と知見の共有

  1. シンプルなプロンプトでの試行: 最初に「80年代アニソン」のような曲という簡単なプロンプトを入力したところ、期待とは少し異なる「90年代のテクノ」のような楽曲が生成されました。
  2. プロンプトの洗練と外部AIの活用: すぐに参加者から、より高品質な曲を作るための具体的なコツが共有されました。
    • ChatGPTとの組み合わせ:歌詞をChatGPTに「秋元康として完璧に仕上げる」よう依頼したり、Suno AI用のスタイル(曲調)を英語でカンマ切りにした短い指示としてChatGPTに作成させたりする方法が効果的であることが示されました。
    • カスタムモードの活用:「シンプル」ではなく「カスタム」を選ぶことで、スタイルや歌詞、タイトルなどを詳細に指示できることが分かりました。
    • 例として、司会者が「Dark Ambient Chill Strings」というスタイルを指定して「Evergreen」という曲を生成し、その早さに驚く一幕もありました。
  3. 参加者の多様な試み: 参加者は、インスト曲から歌入りの曲まで、非常に多様な楽曲制作に挑戦しました。
    • 「コーディングエージェント」をテーマにした爽やかなテクノ調の楽曲「コードの歌」。
    • 「商事最強ソング」と題されたアップビートなロックナンバー。
    • バータイムの雰囲気にぴったりの「メロメロバータイム」。
    • 来栖川電算の採用情報をChat GPTに読み込ませて歌詞とスタイルを生成させた、CMにふさわしいアップテンポでキャッチーな楽曲の制作。

このワークショップを通じて、参加者はプロンプトを工夫し、また外部ツールを組み合わせることで、ものの数分であっという間に曲が完成するというSuno AIの強力な機能を体験しました。一方で、司会者は無料生成分のクレジットをあっという間に使い切ってしまうという制限にも直面しました。

作曲AI以外のAIにも言及

Suno AIを中心に進められましたが、ワークショップの終盤では、全自動ではないもののAIが作曲支援を行う「Mozart AI」のような、他の分野のAIにも言及されました。これは、DAW(デジタルオーディオワークステーション)環境でトラックごとのリフ作成や、設定のカスタマイズをAIが支援する仕組みである可能性が指摘され、AIが様々な形で創造的な作業をサポートしている現状が確認されました。

3. ワークショップを通じて得られたAIに関する知見

今回のSuno AIを使った体験を通じて、特に普段コーディング支援系AIに触れているエンジニアにとって、AIに対するいくつかの重要な知見が得られました。

知識がなくても感覚で判断する創造系AIとの違い

最も大きな発見は、「出てきたものに対するフィードバックの感覚」が、普段利用するコード生成系AIとは大きく異なる、という点です。

  • コーディング支援系AI:生成されたコードの良し悪しは、知識(知見)に基づいて論理的に判断し、デバッグやチューニングを行うことが可能です。
  • Suno AI(作曲AI):生成されるのは「曲」であり、音楽に関する専門的な知識がない状況では、「一度聞いてみて、フィーリングでどう判断するか」という感覚的な判断が中心になります。出てきたもののよしあしの判断方法が、普段の業務で使うAIとは違う、という感覚が共有されました。

プロンプトチューニングの重要性

AIに「雑にポンと投げる」と何らかの結果は返ってきますが、求めているアウトプットに近づけるためには、プロンプトでのチューニングが鍵になることが改めて確認されました。(このあたり、少し前のIT系でのAI活用に似ていると思いました)

参加者が実践したように、プロンプトの質を上げるためにChatGPTを併用し、スタイルや歌詞を細かく設計するといった工夫が、創造的なAIの活用において非常に重要であることが確認されました。

AIの進化の速さと広がり

今回のワークショップを通じて、作曲の分野においてもAIの進歩が非常に早く、多様なサービス(Suno AI、Mozart AIなど)が登場していることが再認識されました。

この体験は、参加者にとって、今後様々な分野で登場する新しいAIサービスに対して積極的に触れ、その感触や利用方法の知見を深めていく良い機会となりました。

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